38歳、女性。少し変わった趣味を持つから呼び名はミーコと呼ばれる。家には猫を多頭飼い。日本人女性の大半は、家族や親戚がいると自分から言わなくてもお見合い話を持ちかけられる。特に田舎の実家暮らしの女性の結婚適齢期は早く、20代でお見合いを勧められることも多い。田舎の婚期はアラサーではすでに出遅れ扱い。でも、いくら婚期が遅れようとも家族や親戚はどうにかして見捨てずにお見合いを持ってくるものなのです。
私が実家を出されてからひとり暮らしをしている時、突然実家の父親から電話が来た。父親から電話が来るなど滅多にないのに。どうやら、親身にしている親戚から私のお見合いの話があったらしい。父親のいとこが私にもってきたお見合い。どうやら、いとこの近くに住んでいるらしい。
私は当時30代。電話を受けると素直に釣書を交換することに。まずは学歴や趣味、ビジュアルを見ないことには始まらない。釣書を見て悪くも最高でもない条件に期待感はなかった。相手は介護関係の仕事についており、年下の男性だった。見た目は良いとは言えないが、介護関係者とだけあり、体つきはよく丈夫そうに見えた。また性格は、明るそうにも見えた。田舎住まいで女性経験も無さそうだった。
私といえば、いつも使う写真を送り、特に頑張った写真でもなかった。周囲の友人から家族や親戚からの紹介であれば、素性も知れており信用できるよ。と聞いていたし、それは私自身も同感ではある。といえどうしても田舎というと周りの束縛や干渉が強く自分の思うように暮らせないのではないか?という不安がよぎる。先人から聞かされる数々の苦労、本で知る田舎の結婚生活の自由のなさ。そういったネガティブなメンが戸惑う理由だった。
そうして、ついに堪忍して素直に実家まで帰省し、翌日のお見合いに備えた。ところが、お見合いの日の前日のこと、親戚から相手の仕事の都合上どうしても向かえないとの連絡が入った。その事情というのも、介護センターで人が亡くなり警察の調べなども入っているとのこと。当然私もそれは仕方がないと一旦はひとり暮らしの家へ帰ることになる。実家からひとり暮らしの家まで車で30分程度の移動時間だけど、働いていた私は頻繁には帰る時間はないので相手から来てもらうようにと父親にお願いしてみることにした。
父親は、いとこにその旨を伝えてみるというが、どうもうまく言えない様子で結局このお見合い話はダメになった。言い出した人は親戚であるし、一度は私は帰省しているのだから事故とは言え2度目は私(女性)の住まいに合わせてくれてもいいんじゃないのかな?と私の立場では考えてしまう。父親にその旨も伝えてみた。
ところが、父親も父親のいとこも相手にその旨を言い出せない様子で、押し問答しているうちに相手方の方が取りやめにした様子でした。私はその頃はもう30歳超えていたので、父親の性格が推しが弱いことを知っていたし、弱い立場でものを言うので余計に不利になることも知っていました。そして、日本の田舎の色々な風習についても学習していたので、相手の親族は田舎特有の考えで、嫁にくることになる女性が自立心が強かったり、仕事を優先するような子では思うようにいかないと、私を毛嫌いしたのではないかと考えたんです。それで、このお見合いの話は結局相手の仕事上の都合で流れてしまいましたが、それでよかったんだと悟りました。
おそらく、こちらから釣書を用事して欲しいと言ったことから、女性が生意気じゃないかと感じたのではないかと思います。相手には面白くはなく、主導権争いのような心境になったのだと思うんです。相手の男性が実家暮らしであれば、両親が口を出してくることも当然当たり前でしょう。田舎の結婚では嫁になる女性を奴隷扱いするような風習もあります。奴隷とまで言いませんが、少なくとも口答えをするような気の強い女性ではなく、大人しい女性が扱いやすく好まれるところがあります。
私の周りは、気軽に会ってドライブでもしてくれば?と声をかけてくれましたが、初対面の男女が男性の車でドライブして危険だし、それは女性が面識のある男性と会うと決めた時に限るのではないかと考えて、気軽に会うことはお断りしました。
結局地元同士の結婚はしがらみが多すぎて面倒なことは確かです。先人から幸せになった女性の結婚までの経緯を聞いていたら、こんなエピソードを聞きました。それは、男性の方から女性の家に頭を下げて嫁にくださいと申し込むというのです。そして、男性は女性に苦労をかけないように、幸せにするように賢明に働くそうです。女性が下に置かれてこき使われる結婚ならお断りするか、途中で壊れる方がよかったと言えます。この先は幸せになれるということだと解釈して前に進みました。特に自分で選びたいという思いが強く、結婚相手も自分が決めた人と自分が決めた条件で行いたいのです。